実践講座4
増補版
チベット密教図説マンダラ瞑想法
ツルティム・ケサン、正木 晃 共著 
定価2520円 (税込み)
四六判 ソフトカバー 344頁 

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チベット密教の瞑想法のなかでも最も高度とされる、「グヒヤサマージャ=秘密集会(ひみつしゅうえ)マンダラ」(=左画像)瞑想法の項では、マンダラに坐する32尊のホトケ、それぞれが持つ法具、マンダラの防御網(バリヤー)、ホトケたちが安住するための宮殿(楼閣)などを生成する実践過程を、豊富な図版によって、詳細に記述しています。
14〜15世紀のチベットのマンダラに描かれた仏の図像が、新たに巻頭カラー8ページを飾ります。


内容説明

【内容】
チベット密教の秘儀を、豊富な図版と詳細な解説で解き明かす、初めての実践的修行法。単なる経典の日本語訳ではなく、タントラの一言一句が鮮やかによみがえってきて、実感できる。マンダラを生成する準備段階から始まり、次第に荘厳な宮殿が立ちあがり、そこにホトケたちが具体的な姿でつぎつぎと現れる。種字一覧と法具索引・ホトケ索引も充実。

【読者アンケートより】
本書はチベット密教独修本の最高峰だ。従来、生起次第のものはチベット僧によってかなり出版紹介されていたが、本書のような究竟次第を整然とした体系にして紹介したテキストはなく、まさにチベット密教界の革命書だ。二次元のマンダラはイメージしやすく、さらに三次元構成にして、随所に写真図像を差し入れ配慮する点などに、著者ならびに出版者の本書に対する篤い意図を感じる。本書より誤ったチベット密教の学識が訂正されるのを願ってやまない。(兵庫県 35才 男性)

瞑想についてここまで平易に書かれた本は初めてです。また、著者の徹底した意志もすばらしく、好感が持てました。(大阪府 29才 男性)

【著者より】
  チベット密教の本格的な瞑想法を、可能なかぎり正確に、しかもわかりやすく解き明かす書物をつくりたい。それが私たちの長年にわたる念願だった。じつはダライラマ一四世猊下からも私たちに対し、かねてより「日本にチベット密教の最高級の修行法を正しく紹介してほしい」との要請があった。
 本書の刊行によって、私たちの念願が実現するとともに、猊下の要請にもおこたえできたわけで、二重の意味で嬉しくおもっている。
 チベット密教の修行法を論じた書物は、これまでにかなりの数が出版されてきている。しかし、これらの書物を読んでも、実践することはまず無理である。密教の修行は、文字を読むだけでは無理で、準備的な体練からはじまって、あらゆる感性を総動員する必要があるのに、そういうふうには構成されていなかったからだ。
 本書はまったく違う。読者の方々は、豊富な図版と的確な解説のおかげで、修行法の詳細を、あたかもラマ(師)から実際に手取り足取りして教えてもらっているように理解できるはずだ。その意味で、本書は日本で初めての「実践的チベット密教修行本」といっていい。(あとがきより)

【著者紹介】
ツルティム・ケサン(白館戒雲 しらだて かいうん)
一九四二年、西チベット、シェーカルに生まれる。インド、ヴァーラーナシー・サンスクリット大学大学院修了。八四年、日本に帰化。現在、大谷大学仏教学科教授。チベット仏教学専攻。共著・共訳に『吉祥秘密集会成就法清浄瑜伽次第』(永田文昌堂)、『智恵の言葉』(角川書店)、『チベットの密教ヨーガ』『ツォンカパ中観哲学の研究氈E』(以上、文栄堂)、『チベット密教』(ちくま新書)、『チベットの「死の修行」』(角川書店)ほか多数。

正木 晃(まさき あきら)
一九五三年、神奈川県に生まれる。筑波大学大学院博士課程修了。国際日本文化研究センター客員助教授、中京女子大学助教授などを経て、現在、早稲田大学非常勤講師。国立民族学博物館共同研究員。専門は宗教学(チベット・日本密教)で、とくに修行における心身変容や図像表現を研究。著書に『密教の可能性』(大法輪閣)、『性と呪殺の密教』(講談社選書)、『はじめての宗教学』『お化けと森の宗教学』『魔法と猫と魔女の秘密』(以上、春秋社)、共著に『チベット密教の神秘』(学習研究社)ほか多数。

【目次】
密教瞑想法・基礎編

なぜ瞑想を行うのか
 瞑想とは何なのか
 仏教瞑想の基本__止と観
 「空性の智」の体験
 さまざまな身体技法−−「寂静の道」と昂進の道」
 用語について

瞑想法のいろいろ
 常住坐臥すべて瞑想
 生起次第(生成のプロセス)と究竟次第(完成のプロセス)
 マンダラ瞑想法
 成就法
ナーローの六法
【マンダラの決まり】

チベット密教がかかえる難題__性的ヨーガ
 仏教の衰退を止めるために登場
 性的ヨーガを理論づける霊的方程式
 インド密教の三つの方向
 修行者を悩ませた相克__解脱か戒律か
 チベット密教の最終回答__実践には厳しい条件

現代における密教瞑想法の実践とは
 チベット密教の現状
 誤解と偏見
現代日本で開示する意味
【種字】

瞑想を行う準備
 瞑想を実践する心身の条件
 瞑想の階梯
 メンタル・トレーニングではない
瞑想用具について
【印契(ムドラー)】

月輪観と阿字観
 月輪観と阿字観の実践

密教瞑想法・実践編1「阿しゅく三十二尊マンダラ瞑想法」

阿しゅく三十二尊マンダラ瞑想法
 阿しゅく三十二尊とは
 グヒヤサマージャ(秘密集会)・タントラ
 グヒヤサマージャ
 聖者流
 テキストについて

マンダラ瞑想法の実践過程
マンダラ瞑想と心身浄化

 0--修行にふさわしい地を選ぶプロセス
 1--みずからが瞋金剛となり、教令輪身を生成するプロセス
 2--阿しゅく金剛の眷属である十体の忿怒尊を生成するプロセス
 3--障碍の魔をプルブで打ちのめすプロセス
 4--墻壁などを築きマンダラを、被甲真言を唱えみずからを、ともに防護するプロセス
 5--勝義の防護を固めるプロセス
 6--金剛地分を生成するプロセス
 7--マンダラの構造物を生成するプロセス
 8--信仰の本尊輪を生成するプロセス
 9--信仰のマンダラを、みずからの身体に摂取するプロセス

密教瞑想法・実践編2「ヤマーンタカ成就法」

成就法とは
 サマヤサットヴァとジュニャーナサットヴァ
 三段階の観想法

ヤマーンタカとは何か
 仏教の死神=ヤマーンタカ
 ゲルク派とヤマーンタカ

ヤマーンタカ成就法の実践過程
 前行と灌頂
 最初の観想
 金剛杵と金剛鈴の加持
 内供養の加持

初加行三摩地
 1--死を法身として体験するヨーガ
 2--中有を受用身として体験するヨーガ
 3--生を変化身として体験するヨーガ
 4--明妃の抱擁
 
マンダラ最勝王三摩地

羯摩最勝王三摩地
 1--供養と讃歎
 2--微細な生成のプロセスに学ぶ方法
 3--生成を思念する方法
 4--念誦の方法
 5--行を終える方法
 6--マンダラを収斂する方法

日常の過ごし方について
 1--行為のヨーガ
 2--食事のヨーガ
 3--睡眠のヨーガ
 4--覚醒のヨーガ

密教瞑想法・実践編3「ナーローの六法」

ナーローの六法とは何か
 ナ−ローパ
 ナ−ローの六法が誕生した背景
 ナーローの六法の構成
 テキストについて

金剛薩たの瞑想と念誦
菩提心をかためる

 金剛薩たの瞑想
  座り方
  因の瞑想
  果の瞑想

 念誦
 甘露降浄法
 終わり方

修行に伴う心身の危険
 トンラとトゥンコル
 トンラとトゥンコル修習の意義
 トンラの実践
 トゥンコルの実践

チャンダーリーの火
 チャンダーリーの火とは何か
 三種の実践方法


 1--脈を想定して瞑想する方法
 2--文字を想定して瞑想する方法
3--瓶風を利用して瞑想する方法
 チャンダーリーの火を点火する

生命エネルギーをアヴァドゥーティに入れ、とどめ、溶融する方法
 資格認定について
 鼻孔の動きによる認定
息を止める得失
生命エネルギーをとどめておく時間の長さ


兆候のあらわれ方とチャンダーリーの火の燃やし方
 兆候のあらわれ方
 兆候に関する要訣
 チャンダーリーの火の燃え方
 歓喜のレヴェルと副次的効果

菩提心を溶融して四歓喜を生成する方法
 順観の四歓喜
 逆観の四歓喜
 月の十六様相・太陽の十二様相
 歓喜を確実に得る秘訣
 菩提心のコントロール
 倶生歓喜の生成
 滴のコントロール
 異常事態への対処法

倶生の智恵を瞑想する方法
 倶生の智恵を生成する方法
 瞑想後の修練

マハームドラーによる瞑想について
 マハームドラーをパートナーにできる条件
 カルマムドラーを許されない場合

ポワ
 実践
 成就の兆候

密教瞑想法・実践編4 日常の瞑想

食事の瞑想
 食物の浄化法
 ホトケたちの招請
 水と香水の供養
 三十二尊への食事の捧げ方
 護法尊への食事の捧げ方
 ホトケたちの食事の瞑想
 水などの供養
 金剛薩たの百字真言
 ホトケたちの帰還
 他人への食事の捧げ方
 日常生活への帰還
 自分自身の食事の瞑想
 喉の浄化法
 心臓の浄化法
 食事の仕方
 消化・吸収・排泄

身体を壮健にさせる瞑想
 修行の時間帯とその実践
 睡眠と覚醒
 疲労回復のための瞑想

あとがき
種字一覧
図版出典一覧

索引
用語索引
ホトケ索引
法具索引

BNP実践講座シリーズ1〜14は、こちらです。

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